学校図書館司書の読んでみた

学校図書館司書の読み聞かせ・読書の記録

藝大生✖️仏像✖️青春=??

 

『東京藝大 仏さま研究室』、読んでみました。

 

東京藝術大学で仏像の保護・修復を学ぶ大学院生4人のオムニバス。仏像の保存や修復、彫刻の方法などの知識がわかりやすく盛り込まれています。教授をはじめ研究室の人たちの仏さまへの熱意が伝わってきて、お仕事小説としても読めます。

東京藝大という特殊な環境での青春群像劇、仏さまを彫ることで切り開く未来、ちょっと他にないお話で面白かった。

 

動くイスも動かないハシビロコウも

ナンセンスを面白がれる4年生。

 

4年生に『かけだしたイス』、2・3年生に『うごきません。』を、読み聞かせました。

 

いわゆるナンセンス絵本。ある日、イスは自分が動けることに気づいて走り出し、サラブレットとレースまでしてしまう。最初は「そんなわけないやん。」と設定へのツッコミが止まらない4年生だけど、だんだん引き込まれ、祈りながら(なぜか)馬を応援していました。そこはイスじゃないのね。読む方はあえて大真面目に読むと、ナンセンスが引き立って面白いと思います。

 

動かないハシビロコウの周りでどんどん変なことが起こります。それでも動かないハシビロコウ。「うごきません」という言葉が繰り返されます。「これは動くよね?」「さすがに動いてしまうかなぁ?」と聞きながらページをめくり、やっぱり「うごきません」となるのがズッコケで面白い。ハシビロコウの生態がわかるページがあったりオチもほっこりで、借りたいという声がたくさんあがりました。オススメ♪

うごきません。

うごきません。

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2時間の映画化に良さそうな小説

設定で、もうオチている。

 

『忍者に結婚は難しい』、読んでみました。

 

伊賀と甲賀の敵対する忍者同士が、そうとは知らず結婚しているという設定。設定に惹かれて読んだけど、伊賀はこうで甲賀はこうでの比較説明に終始なっている気がして、そこに私は面白さを感じられないまま読み終わりました。

 

映画化したら俳優さんは誰がいいか、考えるとちょっと楽しい。

 

2年生、音で楽しむ絵本が大好き!

2年生と3年生。1学年の違いだけど、感じる心はとても育っています。

 

『でんにゃ』を2年生に、『しあわせなクレヨン』を3年生に読み聞かせしました。

 

『でんにゃ』というタイトルのキャッチーさ、可愛い絵と色。表紙から子ども達は引き込まれていました。新しい駅に着くたびに興味津々でとても可愛かった。「がたんごとんにゃにゃんにゃにゃん」を読むスピードを、展開に合わせて変えると盛り上がります。

でんにゃ

でんにゃ

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3年生になると、たまにはしっとりしたお話も読み聞かせます。(毎回だとブーイングが出そう)白いクレヨンがなかなか使ってもらえない展開に、だんだん心配が募る子どもたち。白いクレヨンをたくさん使った雪の絵のページを最後にめくると・・「良かったぁ〜。」という声が上がって温かい雰囲気になりました。

 

動物も妖怪も愛でる

動物や、見えないけどあるものへの感度を上げよう。

 

『俳句の動物たち』、『私はゲゲゲ』、読んでみました。

 

船団の会という、今はもう解散してしまった俳句グループの編集。動物たちが詠まれた句とその動物にまつわるエッセイが読める。エッセイはそれぞれ味があって面白いし、古典俳句であれ現代俳句であれ、句の中で動物たちが生き生きとしていて、俳句と動物好きにはたまらない一冊でした。買おうかな。

 

恐竜のなかの夕焼け取り出しぬ  あざ蓉子

 

蒲公英に化けて吹かれる狐の子  久留島元

 

「探さないでください。」カブトムシ一同  塩見恵介

 

水木しげる先生の本を読み返すたび、「変な人だったんだろうなぁ。」と思う。でもその変なところがたまらなく魅力的。作品はもちろん、ご本人のエピソードも大好きだなぁと改めて思った。

 

常連になりたいお店

なんでもいい、誰かの作ってくれたものが食べたい。

 

『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』、読んでみました。

 

料理をすることに倦怠感しかないまま家族の食事を作り続けている私にとって、身体にいい食べ物を摂る、みたいなのがちょっと辛かった。いくら「簡単なものでいいのよ」なんて台詞があっても、それすらしんどいのだから。

そこを考えないようにして、登場人物たちの悩みに寄り添って最後まで読むことができました。自分のために丹精込めて作ってくれた物を食べられるって、なんて幸せなこと。たとえそれがその人の命を繋ぐための料理だったしても。

 

無理しない関わり方

分かり合おうとし過ぎなくていい。

 

『夜明けのすべて』、読んでみました。

 

二人の主人公の心が付かず離れず、ゆっくりと寄り添っていくのが良かった。あの距離感でいい。もたれ合いすぎず、分かり合おうとしすぎない関係が読んでいて心地よかったです。